ECRプラズマ生成の原理
磁界強度87.5mT(テスラ)の磁力線の周りを回転する電子は、2.45GHzの交流電界で共振し(Electron Cyclotron Resonance、電子サイクロトロン共鳴)、エネルギーを受け取って高速回転します。このため、放電が難しい低圧でもガス分子との衝突が起こり、効率よくプラズマが発生します。
高屈折率制御
- 無電力、低ガス圧(0.01-0.2Pa)、高密度(5-10mA/cm²)
- 基板表面への低エネルギー(10-30eV)大電流のイオン照射効果→無加熱、低ダメージで、緻密、平滑、高品質薄膜を形成
ECR 薄膜の物性
平滑性
原子1個レベルの僅かな凹凸。(Al2O3膜のRmax = 0.48nm @ 膜厚100nm)
硬さ
SiN膜、カーボン膜はダイヤモンド並みの硬さ。
厳密さ
SiN膜の弗酸耐性はPECVD膜の10倍。水分や水素に対しても高いバリア性。SiN膜の水遮断特性(SiN膜被覆で確実に阻止)
Al2O3膜の水素バリア特性(バルク並みのバリア性)
優れた光学特性
高精度な屈折率制御。高い光透過性。(SiO2、SiN、AI2O3、AlN、Ta2O5、ZrO₂など)
不純物フリー
高純度ターゲットとガスを原料とし、反応生成物(H、F、CIなど)無く、高純度。
高配合性
AIN膜、MgO膜などの配向性。低抵抗TiN膜、α-Ta膜。
被膜性
低ガス圧、高イオン化率、傾斜回転成膜により、一般のスパッタよりも段差被覆性が高い。
高耐圧
バルク並みの高耐圧絶縁膜。SiO2、Al2O3膜などは10MV/cm(1000℃熱酸化膜並み)。
低損傷
ECR-SiO₂膜を用いたMOSキャパシタの C-V特性(無加熱ECR酸化で優れた界面特性を実現)MOSキャパシタの界面準位、界面電荷が小さい。
高誘電率
メタルモード成膜により界面酸化膜の形成を抑制。